心臓医療と食べ物と音楽のブログ

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『たばこ利権と喫煙被害』 神奈川県知事 松沢成文氏の意見

政官業の癒着解体を 民主政権の使命だ 
神奈川県知事 松沢成文 識者評論・私の意見「たばこ利権と喫煙被害」
2009年12月8日 提供:共同通信社

 喫煙や受動喫煙が健康に深刻な影響を及ぼすことは国際的な共通認識だ。世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」では、たばこの値上げも含む価格政策などさまざまな措置を求めており、受動喫煙防止については、来年2月までに法的措置を講じることがガイドラインで定められている。すでに多くの国がたばこを規制する法律を制定しているが、日本は条約締結国でありながら、議論は遅々として進んでいない。

 神奈川県は先駆けとして今年3月、全国で初の「受動喫煙防止条例」を制定したが、国の動きは一向に進む気配がない。最大の要因は、たばこをめぐる政官業癒着の利権構造にある。

 たばこ産業は、たばこ事業法などの法律により、葉タバコの生産から製造たばこの販売まで一貫して財務省が所管している。理由はたばこ産業の健全な発展を図ることとされるが、本当の理由はたばこ税の確保である。

 1985年の専売制度改革にあたり、国産葉タバコの価格が国際価格の3倍と、国際競争に耐えられる状況でなかったため、耕作農家や日本たばこ産業(JT)の保護を目的に、国産葉タバコの全量買い入れやJTの製造独占などの仕組みがつくられた。

 厚生労働省がたばこ対策を進めようとしても、予算や税制で絶大な権力を握る財務省がたばこ産業の保護者では、たばこ規制が進むはずもない。

 この利権構造は、たばこ税を確保するためたばこ産業を支配する財務省、全量買い入れの堅持を求める耕作農家、JTの強い影響下にある販売事業者、そして株式の半数を持つ大株主・財務省から天下りを受け入れるJT、そしてこれら4者の利益調整を図るたばこ族議員からなる。

 この利権構造を解体しなければ、条約を誠実に順守し、国民の健康を守る実効あるたばこ対策を進めることは絶対にできない。まず、たばこ事業法など関連法を廃止してJTの完全民営化を果たすことが急務である。

 こうした取り組みは新政権が進める改革にも資するものとなる。JTの政府保有株式は時価総額で1兆3千億円を超える。これは、耕作農家の転作などたばこ産業の構造転換に使うだけでなく、民主党マニフェストを実現するための新たな「埋蔵金」になりうる。

 さらに、条約が求める価格政策、つまり、たばこ税の大胆な増税を行うことで、より一層大きな効果が期待できる。昨春、日本財団笹川陽平会長が提起した「たばこ千円論」では、現在2兆円の税収が9兆円となり、仮に消費量が3分の1に減少しても3兆円の税収になるという。増税による喫煙率の減少は、中長期的には国民医療費を削減させ、7兆円を超えるという喫煙による国民の経済的損失の減少にもつながる。

 たばこ1箱の価格は、諸外国では700円程度が普通であり、英国など千円を超える国もある。海外との比較では日本のたばこの価格はまだまだ安い。

 たばこをめぐる利権構造の解体や価格政策は、国民の健康を守るだけではなく、改革実行の財源を生み出す一石二鳥の特効薬なのである。

 政官業癒着の利権構造を打破するのは、民主党政権の大きな使命である。

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 まつざわ・しげふみ 58年、川崎市生まれ。慶応大卒。米留学や松下政経塾を経て衆院議員、03年から現職。著書に「受動喫煙防止条例 日本初、神奈川発の挑戦」など。


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松沢知事の意見に賛成です。
神奈川県知事の立場から大阪府知事や宮崎県知事のように国政に意見し、
この件について国を動かしてほしいです。